■松本山雅ＦＣ

迎え撃つのは昨季、シーズン終盤の巻き返しによって4位でJ２昇格プレーオフに進んだが、決勝戦で２点リードした状況から追いつかれ、最後の最後で涙をのんだ松本山雅FCだ。
チーム最多の13得点をマークした浅川隼人や昨季のリーグアシスト王の菊井悠介といったチームの主軸を担う選手が残留。さらにヴィッセル神戸から育成型期限付き移籍で加入した世代別代表の本間ジャスティンら若手を中心に補強し、このクラブの下部組織の前身にあたるACNジュビロ沼津出身のDF小川大貴もジュビロ磐田より加入。J３での４シーズン目を迎える今季は、23年より同クラブでコーチを務めていた清水出身の早川知伸新監督の下、昨季以上の戦力を有して昇格を目指すシーズンになる。

■試合の見どころ

昨季の開幕戦を上回る2844人の観衆の前で、２シーズン続けて３−０というスコアで開幕戦を勝利で飾ったアスルクラロ沼津。柳町魁耀が冷静にGKの逆を突いたPKでのゴールで先制すると、後半には開幕戦でプロ初先発を飾った藤井建悟がプロ初ゴール、そして新11番の森夢真が地を這う強烈なシュートをサイドネットへ沈めて、今季期待の攻撃陣が開幕戦からそれぞれ結果を残し、更に３シーズン連続で開幕先発を掴んだ渡辺健太が好セーブを連発して無失点でクローズ。そして71分にはアスルクラロ沼津U-18所属の中野遥翔が17歳2カ月16日で途中からデビューを飾り、クラブ最年少出場記録を更新。2025シーズンを最高の形でスタートした。
移籍した選手が多く不安な声も上がる中、開幕戦から3ゴールを奪い、さらに後半に決めた２得点はどちらもゴールに至る過程を振り返っても、チームの特徴を発揮できた形だった。２点目は、前線からプレッシャーをかけて相手のミスを誘い、高い位置でボールを奪えたところから始まり、３点目は「お互いに近い距離感でプレーしようとプレシーズンから意識してきた」と言うセンターフォワードを務めた鈴木拳士郎と柳町魁耀のセンス溢れる崩しのアイデアが活きた練度の高い攻撃からゴールへ結実した。昨季とはまた違った魅力を放つ新たな攻撃陣は注目ポイントの一つだ。
その中で観るものを虜にするプレーをピッチで表現しているのが沼津２年目の柳町だ。守備でのハードワークという課題はあるものの、前を向ける繊細なボールタッチと意表を突くパスといった攻撃センスは唯一無二の武器。「まずボールを持ったら自分が楽しまないと見ている人たちに「魁耀だな」と思わせることはできない。そこには自信を持ってここまでやってきた」。ゴールとアシストを合わせて自身の背番号と同じ「２４」の数字を目標に掲げる22歳は開幕戦で幸先良いスタートを切れただけに、今節も期待がかかる選手だ。

過去対戦成績