■栃木ＳＣ

栃木SCは昨季、J２を18位に終わり、１年でのJ２復帰を目指し、８シーズンぶりにJ３の戦いに挑んでいる。開幕戦こそ勝利したが、第２節から連敗中と苦しいスタートを強いられている。
そんな状態ではあるが、決して侮れない。スタメンは上位カテゴリーから武者修行中の若手中心のメンバーで、経験豊富なベテランとして元日本代表で静岡県出身の矢野貴章も在籍している。

栃木SCとは沼津がJ３に参入した17年に最終節までJ３優勝争いを繰り広げ、最終節で迎えた直接対決に引き分けたことで悲願の初優勝を阻まれた過去がある。そんな因縁がある両者が8年の時を経て今節、再び激突する注目の一戦でもある。

■試合の見どころ

今季、JFLからJ３へ昇格してきた栃木シティと対戦した初のアウェイゲームは、試合を通じて前線から激しくプレッシャーをかけてきた相手の圧力に押し込まれて苦しい展開を強いられたが、結果的には無失点でシャットアウトし、敵地から貴重な勝ち点１を持ち帰った。
ポジティブな要素は、開幕から３試合で１失点という守備の硬さを続けられていることだ。特に前節は、「かなり押し込まれた」と中山雅史監督が振り返るように、相手の圧力をなかなか押し返せず、数多くのチャンスを作られたが、ゴール前で体を張り続けた篠﨑輝和と井上航希のセンターバックコンビを中心に無失点で抑え、「粘り強く相手に対して寄せる、そしてアタックをかける、競り合う、そういった所はしっかり出せていた」と中山監督は守備の頑張りを高く評価。チームとして泥臭く戦い続けたことが勝ち点１に繋がった最大の要因だ。
開幕から好セーブでチームを救ってきた渡辺健太や開幕から３試合連続で先発を掴んでいる篠﨑輝和と井上航希の新たなセンターバックコンビといった守備の主軸を担っている面々は、ポテンシャルはありながらもシーズン通して主力に定着し切れず、近年は悔しさを募らせてきた選手たちだ。ただ出番が限られていた中でもそれぞれが自分自身を研磨し、そして成長に繋げてきた。渡辺は、ゴールマウスを守る上でこれまでにない余裕を感じ始めており、井上は攻撃の起点を潰すハードな守備に成長を実感している。近年、度重なる怪我に悩まされてきた篠﨑は、改めてピッチに立つことの喜びと楽しみを噛み締めている。そんな彼らが今季はここまでチームの守備を支え、ピッチ上で躍動する姿には今節も注目ポイントとなる。
ただ守備陣の頑張りだけでは勝利を手繰り寄せられない。その頑張りに報いるためにも攻撃陣が奮起を見せられるかが勝ち点３へのポイントだ。特に前節は、高い位置から激しくプレッシャーをかけてきた相手の圧力に対し、ボールを繋ぐ判断を持ち切れず、繋ぐための準備が遅れ、自分たちのサッカーを思うように体現できないという反省が残った。その点を踏まえ、今節はチーム全体で勇気とパワーを持って相手ゴールに迫っていけるかが得点を奪うためのカギとなる。

過去対戦成績