■試合の見どころ

J１からJ3までの全60クラブが参加するJリーグYBCルヴァンカップ。そのレギュレーションで初めて開催した昨季は、１回戦でJ２のベガルタ仙台を撃破して下剋上を果たすと、２回戦では当時J１にいた北海道コンサドーレ札幌と対決し、初めてJ１クラブとの真剣勝負に臨んだ。しかしJ１クラブの壁は高かった。試合の立ち上がりに先制を許した後に、赤塚ミカエルのゴールで追いつく意地を見せたが、そこから立て続けに２失点。自分たちのサッカーが通用したところも確かにあった反面、J１クラブの勝負強さを目の当たりにして２回戦敗退で幕を閉じた昨季の悔しさを糧に、今季は１回戦で再びJ１クラブに挑むことになる。
その上で昨季の経験も踏まえ、チームリーダーでもある菅井拓也は今大会の意義をこう語る。
「まずはクラブとしてJ１のクラブが愛鷹に来て、試合ができることは僕ら選手だけではなく、クラブとしてもすごく大きな財産になる。その上でピッチの上でどれだけチャレンジできるかだと思う。それができないと、何も残らない。相手がスタメンだろうが、サブであろうと、自分たちよりもレベルが高い相手と練習試合ではなく、公式戦でどれだけやれるかをチャレンジすることが大事だと思うので、自分たちがやりたいことをしっかりと出して、どれだけ相手に立ち向かっていけるかが大事になると思っている」。
今大会の初戦でホームに迎え撃つは、J１で好スタートを切った柏レイソルだ。J１残留争いを強いられながらも残留を果たした昨季を経て、今季は徳島ヴォルティスや浦和レッズを率いた過去があるスペイン人のリカルド ロドリゲス新監督を迎え、小泉佳穂や静岡県富士宮出身で静岡学園高卒の渡井理己といった指揮官の戦術を熟知している教え子たちも新たに加入して新たなポゼッションベースのスタイルが着々と浸透させてきている。
そんなアウェイチームに対し、攻守に渡って恐れずに立ち向かっていけるかが大きなポイントだ。特にボール保持から攻撃を組み立ててくる相手の戦い方を踏まえても、自分たちからアクションを起こしていかに高い位置でボールを奪い、ショートカウンターをチャンスに繋げていけるかがJ１クラブから金星を飾るためのポイントとなる。
クラブの歴史を紐解いても2017年にJリーグに参入した沼津は、Jリーグの中では新参者かもしれないが、このクラブに根付いているチャレンジャー精神で地域リーグから着実に這い上がってきた歴史がある。チャレンジャーの資質が問われるルヴァンカップ１回戦で、アスルクラロは恐れずに立ち向かい、その先に昨季果たせなかったJ１クラブからの金星を掴みにいく。